ケアプランはあくまでも計画ですから、その月が終わった時点で当初の計画と違ってきているということも十分考えられます。
ですから、実際にどんなサービスをどのくらい実施したかの実績を集計することが重要になってきます。
実績の集計表である給付管理票は、ケアマネージャーの業務遂行の証であるとともに、国保連にとっては、サービス事業者からの請求を診査する際の正誤の判断基準になります。
Q01. 給付管理業務とは・・・
ケアマネージャーは、サービス計画を立て、それを実施するためにサービス事業者と調整したり、手配するほか、サービスに必要な費用を算出します。
次に提供されたサービスの実績をとり、再度実績にもとづいた最終的な介護の費用を算出します。また、介護報酬請求のための資料も作成します。
要するに、給付管理業務とは、介護保険の保険給付を現実のものとするためのこのような一連の業務を総称して「給付管理業務」と呼びます。
具体的には、次のような帳票を作成していく業務です。
①サービス利用票
②サービス利用票別表
③サービス提供票
④サービス提供票別表
⑤給付管理票
Q02. 給付管理業務の流れ
給付管理業務の流れは基本的には次のようになります。
①介護支援事業者は、居宅サービス計画を作成し、利用者に説明して同意を得ます。
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②利用者から同意を得たら、利用者にサービス利用票/サービス利用票別表を交付します。サービス事業者にサービス提供票/サービス提供票別表を交付します。
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③サービス事業者は、サービス提供票にもとづいてサービスを提供し、サービス提供票に実績を記入します。
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④サービス事業者は、実績を記入したサービス提供票をケアマネージャーに提出します。ケアマネージャーと内容を確認したら、介護給付費請求書・明細書を作成し、翌月10日までに国保連に送付します。
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⑤ケアマネージャーは、実績が記入されたサービス提供票にもとづいてサービス利用票(写し)に実績を記入し、サービス利用票別表で再計算し、最終利用者負担を算出します。
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⑥ケアマネージャーは、実績の記入されたサービス利用票にもとづき給付管理票を作成し、翌月10日までに国保連に送付します。
Q03. 給付管理業務の注意点
介護保険制度では、給付管理業務がそのまま介護報酬請求業務につながります。
ですから、もしこれを間違えると、利用者からもサービス事業者からも相当なクレームがくることになります。
小さな事業所では多くの返戻が出ると事業の存続自体があやうくなります。
ケアマネージャーが給付管理票を出し忘れた場合、サービス事業者からの請求書は「返戻」となります。給付管理票に記入されていない事業者から請求されても「返戻」となります。
また、たとえば3回のサービスを行ったのに2回分しか給付管理票に書かれていないというような回数の間違いであれば、その1回分は支払われないという「査定減額」がなされます。
どちらの場合でも、あらためて翌月請求することになりますので、当然支払いもさらにひと月遅れることになります。
他方、給付管理業務の巧拙は、サービス事業者だけでなく利用者にも大きな影響を及ぼします。
当初たてた予定が変更された結果、区分支給限度額をオーバーしたとすると、そのオーバー分の全額が利用者負担になります。これは利用者側からの変更であろうとサービス事業者側の都合であろうと同じです。
よって、日々支給限度管理ができないと利用者にとって予期しない高額の負担が発生することになります。ケアマネージャーにとっても事後対応ケースが増えてしまい、さらに業務は煩雑・過多になっていきます。
※介護保険施設(介護療養型医療施設、介護老人保健施設、介護老人福祉施設)に長期間入所する利用者に対する施設サービスについては、支給限度額による管理は行わないので給付管理も実施しません。
Q04. 帳票記入上の留意事項
サービス利用票/サービス利用表別表/給付管理票で使用する、サービス内容/種類・サービスコード・単位数は、サービスコード表で確認して記入します。
実務上は、これらの帳票はパソコンソフトを使って入力していくことになると思いますが、一度は手書きで書いてみると帳票の中身がよくわかると思います。
Q05. 事務担当者用研修テキスト
当社では、介護保険請求の事務担当者用のテキストとして、日本医師会総合政策研究機構が発行している「利用者と共有できる介護報酬ナビ」(2,667円)を使用しています。
この本は、全く介護に携わったことがない方でも容易に理解できるようになっていますのでおすすめです。
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