どのようなケースがありますか?
民法719条では、共同不法行為によって他人に損害を与えたときは、共同行為中のいずれが、その損害を加えたかを知ることができないときも、連帯でその賠償責任を負うことが規定されています。
現代社会は複雑に入り組んでいることから、損害の原因に多くの人々や企業が関与しているケースがあります。
例えば、かつてコンビナートを形成する多数の企業が有害物質を含む煤煙を排出し、多数の喘息患者を出した四日市喘息などはその典型的なものといえます。
また、2台の自動車が、双方の運転手の故意または過失によって事故を起こし、その巻き添えで通行人がケガをしたようなケースでは、どの加害者の行為から損害が発生したのかを特定することは困難です。
このような場合に、上記の共同不法行為が認められれば、そのような損害に対して訴えを起こすことが可能になります。
刑法と民法での違いは?
刑法では、それぞれの加害者の間には共謀などの要件が求められますが、民法ではその必要はありません。
つまり、それぞれの単独行為に対して、損害賠償を請求できるということです。 |