スキーによる事故で、治療費や休業補償は請求できますか?
例えば、次のようなケースです。
■XさんとYさんは一緒にスキーに行った。
■スキーの上級者であるXさんは、コースからはずれて滑っていたが、林から出たところで、一般向けのコースで滑っていたBさんと衝突してしまい、両足骨折という大ケガを負ってしまった。
■Yさんは初心者で、衝突したときもスピードを出しすぎていて、制御できずにいる状態だったが、かすり傷ひとつなかった。
このようなケースで、XさんはBさんに、治療費や入院して仕事を休んだ休業補償を請求することができるのでしょうか?
これについては、Yさんに過失があったのかどうかによって、その責任の所在が変わってきます。
つまり、Yさんがスピードを出しすぎず、前方をよく見て滑っていたら、衝突は不可抗力であり、不法行為は成立せず、損害賠償の責任はないといえます。
しかしながら、上記のケースですと、Yさんはスピードを出しすぎてXさんをよけることができなかったわけですから、責任があるといえます。
過失相殺については?
ただし、Xさんのほうにも過失はあります。というのは、Xさんは一般のスキーヤーが通らない林の中からコースに出て行ったわけであり、上から滑ってきた者にとっては予想外の出来事であったといえるからです。
よって、被害者であるXさんにも過失があるのに、Yさんだけに責任を負わせるのは不公平なので、損害賠償額はXさんの過失の分だけ減額されます。これが民法722条の「過失相殺」です。
ボクシングなどの場合はどうなるのですか?
スポーツの最中に起こった事故といっても、ボクシングなど互いに殴り合う競技においては、たとえ相手にケガをさせた場合でも、損害賠償の対象にはなりません。
これは、反則行為があれば別ですが、ボクシングの場合は殴ることが競技そのものだからです。 |