親切心で迷子の面倒をみても、ケガをさせてしまったら損害賠償の対象になるのですか?
例えば、迷子がいて、名前やお母さんがどこにいるのかなどを聞いても泣くばかり。仕方ないので交番に連れて行こうと手を引いて歩き出したところ、子供がつまずいて転んでしまい、ケガをしてしまったようなケースです。
親切心で手を貸してあげたのに、ケガをさせたら損害賠償させられるというのはあんまりだと思われるかもしれません。
しかしながら、迷子を交番に連れて行こうとすることは、民法では「義務なくして他人のために事務の管理を始めたる者」に該当します。
つまり、誰から頼まれたわけでもないのに事務管理を始めた者は、その内容から見て、ふだん自分が尽くすのと同じだけの注意義務を尽くして、その者の利益になるような方法で(民法697条)最後までやりとげる義務があるのです。
よって、重大な過失により迷子にケガをさせたりした場合には、損害賠償をしなければならないということになります(民法698条)。
とはいえ、上記のような迷子がつまずいて転んだというのは、重大な過失とはいえませんので、損害賠償を求められることはないと思われます。
では、途中で放り出した場合はどうなるのですか?
途中で放り出したり、危険な状態で捨ておいたりした場合には、刑法第218条の保護責任者遺棄罪が成立してしまいます。
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