離婚のトラブル法律ガイド



夫婦で交わした契約はいつでも取り消せるのかについて

夫婦間の契約が履行されない場合は訴えることができますか?

民法第754条では、「夫婦の間で交わした契約は、夫婦である間はいつでも、夫からでも妻からでも取り消すことができる」と規定されています。

なので、法律上は、夫婦の問題は当事者間だけで解決しなさい、つまり、第三者が介入するのは好ましくないということになります。

とはいえ、例えば、海外旅行へ連れて行くと約束したのに仕事で行けなくなったという程度の約束の取り消しでしたら、この法律でも納得できそうですが、次のようなケースですとどうでしょうか?

■夫婦仲は冷え切っており、すでに別居して6年が経過している。
■資産家の夫は、以前から熱海の別荘を譲ると約束していた。
■最近、新たな恋人ができたことから、やっぱり別荘は譲れないと言い出した。
■老後は夫と離婚してその別荘で暮らすことを考えていたが見通しがたたなくなってしまった。

上記のようなケースは、夫と別居してすでに6年が経過し、夫婦間の信頼関係もなくなっており、離婚後の生活に関わる大問題といえます。実際、この規定については、裁判でよく問題になっています。

例えば、昭和25年には、上記のケースと同様の訴えに対して、最高裁判所は次のような判決を下しています。

⇒ 「民法第754条の婚姻中とは、形式的に結婚が続いているだけでなく実質も備えた結婚であり、結婚の実質がなくなっている場合は、民法の規定は当てはまらず、契約の取り消しはできない」

この判決からすると、夫婦仲が円満であれば、約束の取り消しなどは笑って済ませるはずですから、問題になるのは夫婦関係が事実上破綻しているケースということになります。

よって、上記のようなケースの場合に、もし納得できないようであれば、あきらめずに訴えてみるとよいと思われます。


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