どのような法律用語なのですか?
通常の日常会話で「善意」とか「悪意」という言葉を使うときには、「善意から手伝ってあげた」とか「悪意をもって知らんぷりした」などというように、心情的に良い、悪いという意味で使っているかと思います。
しかしながら、法律用語における「善意」「悪意」には、良いとか悪いという道義的な意味は含まれていません。
これは、「善意」とはある事柄を知らないことであり、「悪意」とはある事柄を知っていることだからです。結果的に良い・悪いという意味になることもありますが、そうでない場合もあります。
この「善意」「悪意」というのは間違えやすい法律用語ですので注意したいところです。
善意の第三者が保護されるケースとは?
善意の第三者は、何らかのトラブルがあっても保護されるケースが多いです。
具体的には、例えば、不当利得の返還の範囲については、悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還し、かつ損害があればその賠償の責に任じます(704条)。
しかしながら、善意の受益者は、その利益の存する限度においてこれを返還すれば足りる(703条)とされています。
つまり、不当な利得であっても善意(不当だと知らずに)で受け取ったものは、残っているものだけを返せばよいということです。ただし、例外もあります。
配偶者から悪意で遺棄されたときは、770条1項2号によって離婚の訴えをすることができます。これは、善意・悪意に倫理的な意味がこめられています。 |