慰謝料や治療費など親の責任はどこまで問われるのですか?
例えば、小学校1年生の息子が3年生の子とケンカになり、公園のジャングルジムに登っていたところを足を引っ張られて地面に落ち、足を骨折する大ケガを負ったというような場合です。
子供同士のケンカにおいても、興奮したり、ちょっとしたはずみで、思わぬ大ケガを負うことがあります。
ケンカの場合は、双方に非があることが多いですが、上記のようなケースでは、足を引っ張られて地面に落ちたことから大ケガをしていますので、損害賠償を請求することが可能です。
また、相手は3年生で、自分の子供よりも年齢が2歳上であり、知能や体力にもかなりの差があると思われます。
なので、そのような相手が一方的に暴力をふるったということであれば、実際に生じた損害は全額請求することができます。
とはいえ、加害者である小学校3年生の子供には責任能力は認められません(712条)ので、その子供を監督すべき親に対して(714条)請求することになります。
自分の子供にも非がある場合はどうなりますか?
上記のようなケースで、もし自分の息子にも、相手の子供と殴り合いをしたり、相手を追いかけているうちに自分で足をすべらせて落ちたなど、悪いところがあった場合には、息子と相手と、どちらがどれくらい悪かったのか、事の成り行きと知能、体力の格差を考慮することになります。
具体的には、同じ年齢の子供とのケンカで、50%ずつ悪かったとしたら、実際の損害額の半分を請求することになるのですが、これは民法722条の「過失相殺」と呼ばれるものです。
また、自分の息子のほうが一方的に悪かった場合は、損害額はほとんど認められません。
ケガをした場所が学校だったら?
上記のようなケースで、ケガをしたのが公園ではなく、放課後の学校や帰り道であった場合には、学校や教師の責任になるのでしょうか?
これについては、学校や教師の責任が認められるのは、教育活動とそれに密接に関わる生活のみに限られていますので、やはり親が損害賠償をすることになります。
つまり、親の監督義務というのは、広く子供の生活全般に及んでいるということです。 |