盗まれた物を所有している人が占有権を主張したらどうなるのですか?
例えば、Aさんがオリジナル時計を盗まれ、後日その時計をはめている人をみかけたので、「返しなさい!」と詰め寄ったところ、相手は平気な顔で「これは自分のものだ。自分には占有権がある」と主張したようなケースです。
このような場合には、Aさんは自分の時計をあきらめる必要はありません。
というのは、占有権というのは、物の正当な所有者が誰かという争いにケリがつくまでの、とりあえず認められた権利にすぎないからです。
なので、相手の人が盗んだ本人であったり、あるいは盗品と知っていながら占有しているのであれば、その人は「悪意占有者」ということになり、物を返還しなければなりません。
相手が盗品と知らなかった場合は?
盗まれた物を占有している相手が、それが盗品であることを知らなかったとしても2年間は、返還請求に応じなければなりません(民法193条)ので、Aさんが請求した場合には、その物を返還しなければなりません。
よって、Aさんが自分のものであるという証拠をかき集めて裁判所に訴え出れば、オリジナル時計は戻ってくると思われます。
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